骨・関節の病気(股関節形成不全・椎間板ヘルニア・膝蓋骨脱臼(パテラ))
- 股関節形成不全
- 【症状】
太ももの骨と骨盤とをつなぐ股関節の形に異常が見られる事です。大腿骨がはまるくぼみが浅く亜脱臼の状態になったりします。遺伝的要因が7割~8割といわれていて先天性のものが大半です。症状としては腰を左右に振って歩く、足をひきずる、後ろ足をウサギのように揃えてピョコピョコする、階段などを嫌がる、横座りなど様々な症状があります。
【原因】
多くは超大型犬や大型犬に見られ、成長期の3~6か月から大型犬の骨格形成が完成する2歳位までに発症します。これは大型犬の成長に骨と筋肉の成長バランスがとれない事が原因のひとつです。また、成長期に過度な運動や偏った食事が原因のひとつともされています。
【治療】
早期の場合、消炎鎮痛剤の投与と運動制限になります。また、成長期の場合、食事制限も効果があると言われています。重度の場合は、外科的手術が必要になることもありますが、年齢や健康状態などによりますので、獣医さんとよく相談しましょう。
【予防】
先天性の可能性も高い為、早期の発見が必要になります。健常な犬でも、滑りやすいフローリングや階段やソファなど上り下りは避けた方がよいでしょう。足の裏の毛が伸びていたり、爪が伸びている状態も滑りやすくなり好ましくありません。また、肥満も原因のひとつになりますので、肥満にならないように気を付けましょう。
- 椎間板ヘルニア
- 【症状】
首から腰まである背骨の間にある椎間板というクッションの役割を果たす部分が変形し突出することにより脊髄を圧迫し、さまざまな神経症状をひきおこす症状を指します。首から腰までの間で発症部位によって症状は異なりますが、背中の中央部付近から腰にかけてが大半になります。発症すると、痛みがある為、背中を触られるのを嫌がったり、足を引きずるような歩き方や後ろ半身のふらつきなどが見られます。重度になると四肢の麻痺や排尿排便が困難になる事もあります。
【原因】
過度の背骨への圧力(垂直に飛び跳ねる、段差の上り下り、高い場所からの落下など)、肥満、老化、先天性・遺伝性などがあります。特に胴長の犬種(ダックス・コーギーなど)は繁殖の中で軟骨形成に異常がみられる事もあったりします。
【治療】
軽度の場合は、内科的処置で非ステロイド系の薬や抗炎症薬の投与になります。重症の場合は、外科的処置により飛び出した髄核を物理的に除去する方法も可能です。いずれにしても進行のステージによって異なります。肥満が原因の場合は投薬+ダイエットになります。
【予防】
肥満に注意すること。過度の運動やジャンプ、段差の日常的な上り下りを避け、滑りやすいフローリングや足の裏の毛、爪の伸びのケアをして犬が滑って骨に負担がかからないような注意しましょう。また、抱っこの仕方も体全体をしっかり支えるように気を付けましょう。
- 膝蓋骨脱臼(パテラ)
- 【症状】
膝のお皿である膝蓋骨が膝関節の中央にはまっているのですが、その正常な位置に収まらず外れてしまった状態を指します。完全に外れたものを「脱臼」、不完全に外れたものを「亜脱臼」といいます。また、外れ方も内側に外れる場合と外側に外れる場合もあります。傾向としては小型犬は内側、大型犬や牛、馬などは外側に外れる傾向があります。症状としては、足を引きずって歩く、触ると痛がる、すねの捻れ、極端なX脚(外方脱臼)やO脚(内方脱臼)、重症化すると、太ももと脛の骨をつないでいる前十字靭帯の断裂、お皿をつないでいる膝蓋靭帯の断裂、膝の変形性関節症などに進行することもあります。
【原因】
外傷性と先天性の二通りの原因があります。外傷性の場合、交通事故や激しい衝撃を加えられたり、どこか高い所からの落下、日常的にフローリングや階段など滑ったり、段差を上り下りして酷使する、肥満による膝への負担などです。先天性の場合は、遺伝による筋肉、骨、靭帯、大腿骨の溝の発育異常があげられます。多くは超小型犬や小型犬に見られ、筋肉が弱かったり、骨が細い子が比較的多いようです。
【治療】
症状の進行具合によりますが、内科的治療と外科的治療があります。内科的治療は消炎鎮痛剤の投与やサプリメント、運動制限や食事療法が中心ですが、症状が改善することは難しい疾患なので、進行しないようにする事が大変重要になります。
進行すると外科的処置で手術になります。
【予防】
一番は膝に負担を掛けないようにする事です。適度な運動で筋力をつける事も大事ですが、過度の運動は禁物です。滑りやすいフローリングや階段やソファなど上り下りは避けた方がよいでしょう。足の裏の毛が伸びていたり、爪が伸びている状態も滑りやすくなり好ましくありません。また、肥満も原因のひとつになりますので、肥満にならないように食事と運動のバランスに気を付けましょう。