【症状】
腎臓の働きの75%以上が機能しなくなった状態を指します。
腎臓の役割としては、体内の毒素や老廃物をろ過し体外に排泄する機能、
尿を作り、体内の水分調節を行う、必要な栄養素の再吸収を行うという働きがあります。
腎臓の働きが悪くなれば当然、老廃物などの排泄するべきものが体内に溜まり、尿毒症を引起す事も考えられます。
また、腎不全には急性と慢性の2種類があり、急性は数日で急激に悪化するもので、慢性は数カ月から数年にわたり徐々に悪化していくものです。
急性の症状↓
動きたがらない。
食欲不振。
嘔吐する。
よだれが出る。
脱水症状。
尿が少ない、出ない。
慢性の症状↓
薄い色の尿を頻繁にする。
水の多飲。
動きたがらない。
食欲不振。
嘔吐・胃液を吐く。
痩せてくる。
貧血(ふらつき)症状。
【原因】
急性↓
多くは中毒を引起す物質が体内に入ってしまう事です。
レーズンやユリ科の植物などを食べた食中毒や抗生物質などの化学物質が原因になります。
また、なんらかの事故による出血、大量の下痢、脱水、ショック、心不全、血管収縮薬や拡張薬の過剰な投与、長時間の麻酔、熱中症による脱水などにより体内の血流が著しく低下する事も原因として挙げられます。
他の病気により、尿管、膀胱、尿道の炎症や閉塞が原因で腎臓に影響を与える事もあります。
慢性↓
加齢による臓器の働きの低下。
高塩分食、高たんぱく食など食事の偏り。
他の病気による併発。
遺伝。(代表的な犬種としては、ブルテリア、ジャーマンシェパード、ケアーンテリア、イングリッシュコッカースパニエル、サモエドなど。)
【治療】
急性↓
急性の場合は一刻をあらそう為、至急の処置が必須です。
まずは症状の軽減を目的とした対症療法が施されます。
多くは、輸液、ホルモン剤投与、腹膜灌流(ふくまくかんりゅう=腹の中に灌流液を入れて1時間位してから回収する)、血液透析、窒素化合物を吸着させる薬剤の投与などの治療が施されます。
吐き気が治まっていれば炭水化物や脂肪など、タンパク質以外の栄養素を補給します。
また、他の疾病によって引き起こされている場合は、それらの基礎疾患への治療が施されます。
慢性↓
症状が明らかに出ている場合は、急性同様、症状の軽減を目的とした対症療法が施されます。
多くは、輸液、ホルモン剤投与、腹膜灌流(ふくまくかんりゅう=腹の中に灌流液を入れて1時間位してから回収する)、血液透析、窒素化合物を吸着させる薬剤の投与などの治療が施されます。
腎臓機能の悪化によって高血圧になっている場合は、血圧を安定させる薬剤が投与されることがあります。
また、腎臓のホルモン分泌が低下している場合はホルモン剤の投与を行います。
また、長期にわたる治療が必要となる為、タンパク質と塩分量をコントロールした食事療法が施されます。
【予防】
腎臓は一度機能を失うと回復が難しい臓器です。
その為、日頃から愛犬の様子をよく観察する事と食事に気を付けましょう。
急性の予防としては、原因となる毒物を摂取しないように細心の注意を払い、また薬物を投与する際にも気を付けるようにしましょう。
慢性の予防で一番簡単に出来るのは、バランスのよい食事を与える事です。愛犬の体質と年齢にあった内容のドッグフードを与えましょう。
また、排泄物や愛犬の様子をよく観察しましょう。
シニア犬の場合、加齢による腎臓機能の低下は避けられませんので、日ごろから尿の量や回数、色をチェックするようにします。
脱水を予防するため、新鮮な水がいつでも飲めるようにしておきましょう。
また、シニア犬の場合、元気がない、食欲がないのは老化のせいだろうと見逃しがちなので、定期的な健康診断・血液検査もお勧めします。
Note!
慢性腎不全の場合、不可欠な栄養素
ビタミンB・C:
ビタミンBとCなどの水溶性ビタミンは、頻尿によって排除されるのでこれらのビタミンを補充することが重要です。
炭酸水素ナトリウム:
頻尿によって重炭酸イオンも尿腎臓組織から排除されます。腎臓が正常に機能するために重炭酸イオンが必要です。 イオンを補充するための簡単な方法は犬の食べ物に重曹を一つまみ追加することです。
カルシウム:
カルシウムは腎結石の形成を減らし、血液中の過剰なリンを結合することによって、腎不全の進行を遅らせることができるので、 十分なカルシウム摂取が必要です。
オメガ3脂肪酸:
腎不全の犬はオメガ3脂肪酸摂取は、長生きの要因のひとつである事が分かったそうです。ビタミンEは、オメガ3オイルと一緒に摂取すると相乗効果が期待出来るそうです。
コエンザイムQ10:
コエンザイムQ10は、クレアチニン濃度を減少させ、正常な腎臓の機能を向上させるものです。